購入時に装着されていたタイヤがあまりに残念な状況だったのが耐えきれず、完全に予算から逸脱はしてしまいましたがタイヤを新調しました。ちなみに純正装着タイヤはContinental ContiSportContact3 ContiSealというタイヤが装着されています。このタイヤ、以前書いた記事でも触れていますが、要はランフラットタイヤのようにサイドウォールを固めて対処するタイプではなく、シール剤によってパンク穴を塞いでしまう=余計な補強がいらないモビリティタイヤ、ということです。重量のデータは未確認ですが、当時はすげーのが出た!と驚いたところ。で、リプレイスにあたり、似たような性格のタイヤを履こうと思い色々とリサーチをしてみましたが、結果、今回はミシュランを選択。

ちなみに候補としては、こんな感じでした。
・Continental ContiSportContact5
・Michelin PilotSport 4
・Michelin Primacy 3
・Pirelli P7 evo Performance
国産タイヤは除外。なんとなく好みが見え隠れする候補群ではありますが、今回はどーしても欧州ブランドのタイヤが履いてみたかった、というのが理由です。

この中で一番の注目株はPirelli P7 evoかもしれません。P7自体はまぁまぁ名の知れたタイヤではありますが、『evo』と名の付くものは初めて触れたタイヤ。何だコレ?と思い調べてみると、どうやらイエローハット専売のタイヤだということが判明。最近、この手の『有名ブランドのカー用品量販店専売モデル』だいぶ増えてきましたね。トレッドパターンや説明書きを見る限りではそれなりに良さそうに見えるし、何しろ価格が同カテゴリのタイヤの中では半値以下!騙されて買ってもまぁ不満なさそう。で、百聞は一見にしかず?ということで、イエローハット店頭で話を伺ってくると、特徴が見え隠れ。店員さんいわくですが、

・Pirelliの中国工場で生産(そうだった、中国資本に買収されたんだよな)
・YHが独自に日本向け商品オーダーをしてつくらせている(ほうほう)
・よって、Pirelliのカタログには掲載されていない(なるほど)
・P7の冠名はあるが、Cinturato P7とは別モノ(えっ?まぁそうだよね)
・どちらかというと低価格で低燃費なタイヤ(あらま)
・ライフサイクルは短め、グリップはそこそこ、あまり静かではない(うーん)
・よって、あなたが乗るPassatにはもっとイイタイヤを履くべき(えっ?)
…結果、まさかの販売拒否(笑)というかたまたま声を掛けた店員さんがイイ人だったのかはたまた高いタイヤを売りたかったのかはわかりませんが、とにかく非推奨という結論を全面に押し出してきた、という印象です。ちょっと気になったので、他のYH店舗で同じ商品について話を伺おうとしましたが、そちらでは『Pirelli』のブランドがどう、という説明に終始。…うーん。どちらにせよ、YH専売のわりに、積極的に販売するという姿勢ではないのかもしれません。

次に気になっていたのはCSC5。単純に純正OEタイヤの後継版、というところでの選択肢になります。調べた限り、CSC5にもオルトラ装着可能サイズが設定されていますし、ContiSealあり・なし両方設定があるようで、まさにリプレイス用としては最適、というところ。が、Continentalの問題点は量販店では入手困難、買うとするならネット購入というところかと思います。で、ネットで調べてみると、これがまたさっぱり安くない。本来なら一度履いてみて『新車のときはどーだった?』ってやりたかったんですが、今回は予算の都合で却下しました。で、最終的にはMichelinのタイヤから選ぶ、というところに落ち着きました。

残る選択肢はパイロットスポーツとプライマシー。最近、タイヤを新調するタイミングがほとんどなかったので、この両者の違いやら歴史観やらはさっぱりだったので改めて調べてみましたが、意外と興味深い結果に。と、いうのは、

◇PS4
・スポーツタイヤ、というよりはコンフォートよりの性能
・スポーツタイヤとして考えるなら、旧製品のPS3のほうがおすすめ
・実はPrimacyより安い(これは驚き)
・サイズによって生産国が違う(性能差はない、と考えるべき?)
◇Primacy
・かつてはHPとLCの2種類が存在したが、現行モデルは1ラインナップ
・という触れ込みだが、実はPrimacy 3とPrimacy 3STの2種類が存在(!)
・両者の違いは生産国(STはタイランド製)だが、性能も違うはず(だが公式には否定)
・スペック表やパターンを見る限り別商品と考えるべき
はぁ。なんか自分の『既成概念』からはどーもズレた事実が並んでおります。というより、なんだか買いづらいタイヤだなぁ。なーんて思いつつ、色々と物色。

価格的にはPS4がいちばんベストかなぁ、コンフォートよりはスポーツ系履きたいしなぁ〜って思いつつあちこち聞いて回りましたが、やはり価格的にはPS4<Primacy 3という結果でした。しかし、PS4はどこに聞いても在庫がない。まぁ、ちょっと待てばすぐ手に入るものだったんでしょうけど、どーしてもすぐ履き替えたい欲求がすごくて、結局店頭在庫があるとこで買いたい!って気持ちになってしまって…。で、それをあれこれ調べているうちに、Primacy 3(無印)と3STの違いを知ることになり、よくよく調べてみると、無印=けっこう『超高速性能+グリップ重視』(旧製品でいうとHP寄り)、ST=アジア向けの『ロングライフと静粛性重視』(旧製品でいうとLC寄り)というところまでわかりました。

早速、店頭に並んでいるPrimacy 3の適合サイズ(225/45R18)商品をみると、全てが『3ST』であることが判明。うーん。そうか。と、するなら、PS4買うか、3ST買うかで考えたほうがいいんだよなぁ、という結論に。で、結局、今回はクルマの性格とメインで乗る人間(ヨメ)ということを考慮し、Primacy 3STを購入してみました。(と、言ってるけど…ミシュラン満足保証プログラムがあるから、まず店頭にあった3ST履いてみて、ダメだと思うならPS4に履き替えよう、という魂胆である 笑)

◇Michelin Primacy 3 ST
STが意味するものは『サイレント・チューン』だそうで。ほう。で、無印との違いとするならば、Uniform Tire Quality Grading(UTQG)という、日本でいうタイヤラベリングのようなものがあります。その中で、タイヤの耐摩耗性能を示すTreadwareという指標が大きく異なり、無印は240、STは340(※基準は100、数値が高いと耐摩耗性が高い=ロングライフ)という数値。通常の考え方でいけば、耐摩耗性が高い=グリップが低い、と考えるところですから、STはグリップが落ちている分、寿命は長い、と考えるところ。まぁ、耐摩耗性が高かったとしても、その前に賞味期限切れちゃったら元も子もないんだけど。

とまぁ頭の中で色々と考えを巡らせてみましたが、むしろサイレントチューンが施されたミシュランさんはどんな性能を有しているのよ!?と思い、もうあれこれ考える前に買ってしまえ!満足保証プログラム!というオチです。

乗ってみて感じたところとすれば、STの冠名どおり、本当に静かです。クルマ自体が静かなほうではありますが、それを差し引いても本当に静か。無音、とまではいかないものの、耳障りな周波数の音がなく非常に快適です。これは同乗者もはっきりと認識できるほどの違いがあります。低周波ノイズについては、ある程度の低減というところですが、高周波ノイズについてはかなり低減され、結果静かに『感じる』部分が際立っている気がします。

一方、タイヤそのものの性能としては、直進安定性を強めに感じる仕上がりに思います。言い換えれば、中立付近の収まりがグッと留まろうとする味付け。で、結果小刻みな修正舵の必要がなく、ビシッとまっすぐ走ろうとする力を強く感じる=安定しているという印象を強く感じます。驚くのが、それが路面がパッチワーク舗装でフラットでなかったとしても、同じように性能を発揮することでしょうか。

グリップ感としては、必要十分はあるかと思います。まだ皮むきが終わっていない距離しか走っていませんので現状なんとも言えませんが、グリップ不足と思う場面はほぼありません。コーナリング時の安定感もなかなかですし、縦グリップもオルトラが持つ性能の範囲内であれば合格点、といったところ。グリップが遅れてついてくる感もなく、とにかく『素直に転がっている』『黒子に徹している』感が強い。で、見方を変えると…ハンドルがすごく軽くて軽くて。一般的には軽いほうが良いという向きがあるかと思うのですが、このタイヤは「タイヤを意識させないぐらい」軽い。安定性があってハンドリングが軽いってことは、結果すごく楽なタイヤではあるんですが、もうちょっと「タイヤしてます」感が欲しい、と思うのは欲張りなのか、はたまたチョイスミスだったのか。これはもうちょっと乗ってみて、考えてみることにします。

静粛性と直進安定性、この2点が非常に高いレベルにあるこのタイヤは、パサートというクルマにはとてもベターなチョイスなのかと思います。一方で、強心臓を持ち足回りが硬めに設えられたオールトラックというクルマには、もうちょっとスポーツタイヤでもいいのかなぁ、と思ってしまいます。

幸いなことに、今回はオートバックスで購入したのですが、前出の満足保証プログラムが期間限定で60日→90日延長キャンペーンが実施されています。90日あれば、それなりに走り回ることができるので、その間にこのタイヤの是非を図っていきたいと思います。